書評:次世代ウェブ

佐々木俊尚さんの新著「次世代ウェブ グーグルの次のモデル」を読みました。

次世代ウェブ  グーグルの次のモデル
佐々木 俊尚
光文社
売り上げランキング: 591

副題に「グーグルの次のモデル」とあり、帯には「Web3.0のステージを制するのは、
一体どんなビジネスモデルなのか?」とあります。
本を売るための戦略でしょうが、このコピーの付け方は、少々おおげさに思えます。

なぜなら、本書は、「次世代ウェブとは、こういうものだ。」という内容でなく
「次世代ウェブは、まだ模索中。次世代ウェブの可能性として、Web1.0からWeb2.0への
変遷の流れと、現在の環境を分析すると、こういった可能性があるのではないか?」
という内容に、私自身は感じたからです。「次世代ウェブは、まだおぼろげ」なのです。

明確な解を求める向きには不満ですが、読み物としての面白さは失っていません。
このあたりは、綿密な取材に裏打ちされた、数多くのケーススタディを背景に
論理的な解説が加わることによって生じる説得力に起因するものでしょう。

佐々木さんの一連の著作にも感じられることですが、この丹念な取材力と、物事を
時系列に整理して、わかりやすく解説してくれる文章の相互補完が、佐々木節とも言える
独特な世界を創出しているように感じます。これは本書でもいかんなく発揮されています。

ちなみに、取材を受けた側のblogも2つほど見つけましたので、ご紹介します。

丸山茂雄の音楽予報 - 次世代ウェブ グーグルの次のモデル
So-net blog:風雲児たれ:次世代ウェブ

そして、かなり長いですが本書の目次の詳細を。

プロローグ

・思いつきから生まれたビジネスの種
・仮想通貨が急成長をもたらす
・「ジジイキラー」能力の第一世代、営業力の第二世代
・秀逸なビジネスモデルに加えて高い技術力 - 第三世代

第1章 源流 - 「おせっかい」なビジネスモデル

・明確な定義はない「Web2.0」
・進化の必然的帰結
・困難だったナレッジマネジメントの導入
・Web2.0の時代の集合知モデルを先取り
・「集合知の世界では、商品力こそがすべてだ」
・ウェブサイトが成功するための三原則
・多くの中小・零細企業はネットとは無縁
・商圏の壁をいかに突破するか
・「世界知識遺産」
・「オレはなあ、寂しいんだよ」
・突然の高成長の理由
・インフラとしての集合知モデル

第2章 進化 - 復古運動としてのWeb2.0

・カネだけが大量に集まった幼年期のベンチャー業界
・P2Pの威力と可能性
・成長するベンチャーに共通する三つの特徴
・アマゾンだからこそ可能なモデル
・プラットフォーム化しつつあるロングテールによるマッチングビジネス

第3章 変化 - 「地主制度2.0」と楽天の岐路

・楽天はWeb2.0企業なのか
・プラットフォームになるには「地主」にならなければならない
・「地主」としてのグーグルとアップル
・垂直統合モデル成功の背景
・従量制への大転換
・楽天が「中抜き」されてしまう可能性
・ニューエコノミー的収奪
・三次元思考の欠如

第4章 融合 - 交差するヤフーとミクシィ

・失敗続きだったコミュニティ・ビジネス
・行き詰った「収穫逓増の法則」
・コスト意識に乏しかった九〇年代のベンチャー
・危機感を募らせるポータルビジネス
・SNSの本質は人間関係
・情報の巨大な海から必要な情報をすくい上げる「UFOキャッチャー」
・ゲーム2.0
・ソーシャルの概念を持ち込んだオンラインゲームの可能性
・SNSの世界では民族性が非常に重要なファクター
・リアルマネーと兌換可能な仮想通貨
・RMT問題
・SNSの次のステージ

第5章 期待 - グーグルを超える「UFOキャッチャー」

・二〇〇七年の主なテーマ
・合従連衡を繰り返した初期の検索エンジン
・グーグルが制した二つの競争
・「過去の履歴」の限界
・母集団の増加は衆愚化を招くのか
・ビジネス寄り、文系寄りのソーシャルニュースコミュニティ
・ゲマインシャフトのサービスへの取り込み
・「メタRSSリーダー」や「メタブックマーク」への期待
・占いによる心理・行動分析は有効
・内なる精神的志向、心理までも取り込んだアプローチ

第6章 鉱脈 - 「リアル世界」に進出する日本の検索エンジン

・失敗を繰り返してきた経産省に対する不信感
・点在する「リアル世界」の技術を検索
・仕掛け人はネット業界出身の官僚
・来るべきデータベース極大化社会
・縮小するテレビCM市場
・日本にグーグルが生まれなかった理由
・世界を覆い尽くしつつある「無料経済」

第7章 進出 - 「無料経済」下の収益モデル

・アテンションエコノミーの世界での利益
・ミュージシャンがカネを払って、利用者は無料で聴くシステム
・冗長性が失われれば、コンテンツの質は低下していく
・新しかったはずのコンテナーモデルが権威化
・時期尚早だったネット配信サービス
・ゆるやかな連邦政府構想
・ネットがリアル経済へと進出していく現場

第8章 打破 - キーワードは「リスペクト」

・「ネットでの工作活動」との批判でブログ炎上
・プロセスの可視化に対する要求の高まり
・アフィリエイトのロングテール現象
・書きやすさの度合いに応じて単価も変わる
・企業にとって絶好のプラットフォームとしてのブログ
・「地主制度2.0」打破のカギ

あとがき


おぼろげな次世代ウェブにかかる霧を払うヒントに。

次世代ウェブ  グーグルの次のモデル
佐々木 俊尚
光文社
売り上げランキング: 591

追伸:
目次を書き起こして気付きましたが、
本書の目次(小見出し)はいくつか抜けがありますね。
意図的に実施しているのかもしれませんが。

ウェブページ